てんかん発作、医療的ケアのある30代の娘。「大人の病気のことは、小児科では対応できない、大人の外来(病院)を探すように」と言われ戸惑っている


Q.30代の娘の母です。てんかん発作があり、医療的ケアもあります。今まで、大学病院の小児科にお世話になっていて、このままずっと見てもらえるものだと思っていました。

ところが、主治医から「大人の病気のことは、小児科では対応できなくなるので、大人の外来に移るように」と言われました。病院も自分で探すようにいわれたので、戸惑っています。<219号> 


A.ここ十数年、各病院の小児科でキャリーオーバーといって、高校生以上になったのだけれども引き続き小児科でフォローしている方のことが話題に上るようになりました。

 

神奈川県立のこども医療センター等では、神奈川全域から治療困難な患者さんが集まるために、成人したら地元の医師を探すように促されてきました。最近は大学病院や市中病院の小児科の場合にも、主治医が代わるタイミングなどで同様の話が持ち出される場合があるようです。

 

医療はもちろん信頼関係で成立することがらなので、特に患者と主治医との関係にはこれから先のことも含めた信頼関係があるものと期待されるわけですが、時にそれが病院の方針や小児科医師の都合で反故にされてしまう場合があり、今回の質問はこのような場合にあたると思います。

 

次の主治医探しをする場合の目安についてお話しましょう。まずどのような薬を使っているのかが重要になります。

 

例えばてんかんの薬が処方の多くを含める場合には、大人のてんかんを見てくれる外来の先生に診てもらう方法があります。

例えば、聖マリアンナ医科大学にてんかんセンターが設置され、てんかんの患者さんは成人であっても主治医になってもらえるはずですので、紹介してもらう手があります。マリアンナで言えばてんかんセンターか、精神神経科か、神経内科がてんかんを見てくれています。

 

次に、ここ数年何度も気管支炎、肺炎などで入院することがある場合などは、呼吸器内科を紹介してもうらう必要もあるかもしれません。てんかんの主治医と呼吸器科の主治医のダブル主治医という場合もあるかもしれません。

 

緊張が強くて、ボトックスといった治療を継続している場合には整形外科かリハビリ科の主治医も必要になるかもしれません。

 

最近それに加えて、主治医として選ぶことが可能になってきたのか、在宅診療支援型診療所で、いろいろメリットがあります。

 

1つ目のメリットは通院しなくても自宅に往診してくれるということです。そこで必要な胃瘻(いろう)の交換や気管カニューレの交換をしてもらえるだけでなく、訪問看護事業所との連携もしてくれます。

 

2つ目のメリットは土日夜間などの困ったときの対応をしてくれる可能性があります。しっかりした診療所ですと入院の紹介や取次までやってくれます。

 

もし同様のことで困っている方がいらしたら、ソレイユ川崎で私が毎週月曜日の午後行っている外来で相談を受け付けています。ご活用下さい。(医師 江川文誠)



障害児から障害者への移行期(紀さんの福祉情報より)