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当事者にとってヘルパーの確保は必要、ヘルパーの給与は上がるのか


Q.在宅で生活をしている障害者にとって、ヘルパーさんの確保は死活問題です。いつも、いつまで続けてもらえるのかという不安な気持ちで生活しています。

相談支援の方にもお願いしているのですが、土日の早朝や夜間のヘルパーさんを見つけるのが難しいようです。年末年始などは、通常の時間帯でのヘルパーさんをあきらめざるを得ないこともあります。

以前よりヘルパーさんの給与が低く、仕事として続けていけないということは、たびたび耳にしますが、国はヘルパーさんの給与が上がると言っていますが、報道等では上がらないと言っています。

本当のところはどちらなのでしょうか。私たちが困ることが少しは減るのでしょうか。(当事者)<175号>


A.今年の厚生労働省の発表によると、「医療・福祉」産業で働く人の平均月額賃金は、全産業の平均に比べて、正職員で3万1千円も低く、28万7600円。非正規職員の場合は、19万2600円だそうです。中でも、介護ヘルパーは非正規雇用も多く、賃金はもっと低いといわれています。

ヘルパー派遣の実情は、第4次ノーマライゼーションプランをみると、居宅介護・重度訪問介護等の26年度進捗状況は、利用者数はほぼ見込み量ですが、利用時間数は見込み量を大幅に下回っています。

 

自立支援協議会のパブリックコメントでも、「ニーズに対してヘルパーの絶対数が少ない。そのため、土日、休日、朝晩に利用することが極めて難しい。伏せて緊急対応が困難である」「障害の特性への配慮から、対応できるヘルパーが固定化していることが多いため、代替対応となった時に配慮がある支援がなされにくい」「若い人材の確保が難しく、定着していかない」。

また、事業所も不足していて、川崎市の介護保険指定の訪問介護事業所266カ所のうち、障害の指定も受けている事業所は175カ所と少なく、単独で指定を受けている事業所は数カ所」。

こういった実情の中での、国の介護報酬改定です。新聞報道では、介護労働省の賃金が月額1、2万円上がるとされています。ところが、これにはマジックがあって、上がるのは、処遇改善加算や特定事業所加算で、これは専門職を置いたり、支援シートの作成や連携評価を行ったりすることのできた事業所に限られます。

 

介護報酬だけを見ると、居宅介護サービスでは、昨年よりも時間によって、5単位~30単位の減額で、1時間388単位。重度訪問介護は、1~2単位のアップで、183単位(1単位は約10円です。)これでは、どう考えても給与アップは望めません。

ヘルパーの介護報酬は、実際に訪問した時間しかカウントされません。その報酬から、ヘルパーさんの給与はもちろん、交通費や事務経費や事務所の家賃等々を賄わなければなりません。障害特性を理解したヘルパーの養成や研修なども自前で行わなくてはならず、小さな事業所ほど、運営は厳しくなります。

厳しい状況をいろいろ述べましたが、在宅福祉が叫ばれる中、ヘルパーはその要だといわれてきました。

今、利用されている当事者や事業所だけでなく、行政も含めて障害福祉を支える多くの人たちで、「これでいいのか」と考える時期に来ているのではないでしょうか。当事者も家族も歳を重ねる中、待ったなしの課題だと思います。