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通所は帰宅時間が早くなる、夕方の過ごしはどうすればよいか


Q. こどもは、来春、特別支援校の高等部を卒業し、通所することなります。

高等部時代は、放課後にタイムケアを利用していて、家に帰るのが18時過ぎだったので、私も仕事をすることができたのですが、通所の施設は、16時ころに帰宅することになると聞きました。<171号>


A.川崎では、障害のあるこどもたちの家族の要望から、「放課後安心して過ごせるところ」として、タイムケアモデル事業が2006年から始まりました。

その後、2012年から、厚生労働省も障害児支援に力を入れ、放課後等デイサービスという制度ができました。

この2年間で、放課後支援の場は30カ所近くになりました。全児童を対象にしたわくわくも各小学校に設置されています。このように、学齢期の放課後や長期休みの支援は、短期間の間に、急速に充実してきています。

 

しかしながら、高等部を卒業した後、生活介護施設等に通所される場合は、殆どの施設が、15時~16時の間に終了し、早い人だと、15時30分には自宅に帰って来られることになります。

家族が帰られるまで、一人で待っていられる方はいいのですが、そういう人ばかりではありませんね。

残念ながら、高等部を卒業すると、通所帰宅後の支援の場は極端に減ってしまいます。考えられるのは、移動支援や行動援護を利用してヘルパーさんと外出するか、日中短期入所や日中一時預かりをしている施設を探すか、通所されている施設に延長をお願いするしかありません。

 

外出支援は、スポーツなど趣味にあった場所がない限り、スーパーや図書館などを回るしかなく、月に1回程度ならまだしも、毎週一定の時間を屋外で過ごすことは、本人にとってもサポーターにとってもしんどいものがあります。

川崎には、安心して利用できる障害者スポーツセンターのような場もありません。

日中短期や一時預かり等の成人が利用できる場所は、全市で数カ所しかなく、利用できる人数もごくわずかです。その理由としては、生活介護等の通所後の利用は、介護報酬が減算になるため、事業所の運営が厳しいことがあげられます。

通所施設での延長は、それぞれの通所施設ごとに対応されていて、なかには、延長した後、自宅までの送迎を行う施設もありますが、殆どは送迎は家族の負担になっていたり、利用できる回数も月に何回と決められていたり、別途費用がかかったりと、就労を保障できるまでにはなっていません。

成人の通所後の支援は今後大きな問題になることが予測されます。

川崎で、タイムケアが実現できたのは、児童の家族のアンケート調査で、必要だという声がたくさん集まったことと、支援に名乗りを上げる事業者があったからです。

成人期の通所後の支援についても、当事者家族と行政と支援者等関係する人が一緒になって、新たな対策を考える時期に来ていると思います。

各区には、支援の創設を検討する場である自立支援協議会があります。今は、第4次のノーマライゼーションプランの検討の時期でもあり、論議のテーブルに載せる必要があると思います。