· 

医療的ケアができるヘルパーを増やしてもらいたい


Q.気管切開と胃ろうの医療的ケアが必要な息子を介護しています。通所には週3回通い、短時間の入浴介護の他に、月に何回か重度訪問介護で、長時間ヘルパーさんに見てもらっています。

息子のことをよく知っているへルパーさんなので、医療的ケアの研修を受けてもらって、ケアをお願いしています。


これからのことを考えると、医療的ケアに入ってもらえるヘルパーさんを増やしてもらいたいと思っています。そんな折、医療的ケアの制度が変わるようなことを耳にしました。どうなるのでしょうか?

 

(…ソレイユ川崎施設長で、小児科医として地域での医療的ケアを進めてこられた江川先生に、聞いてみました。)<133号>


A.☆医療的ケアについて法制化されると聞いたのですが?

 

厚生労働省の「介護職員等による痰の吸引等のあり方検討会」で、新たな研修システムと法整備の検討がされています。

具体的には、介護福祉士が50時間程度の研修を受けて、不特定多数の利用者へ医療的ケアを提供できるようにするものです。

 

☆どこに問題があるのでしょう?

 

入所系の施設をモデルにしていることです。介護福祉士が不特定多数の人のケアをするのですが、毎回看護師が先端部の確認をすることとなっています。

看護師が常駐している施設は可能ですが、そうではない施設もあるし、在宅ケアではいつも看護師がいるわけではありません。また、50時間の研修についても、たとえば、特別支援校の先生が50時間研修できるのでしょうか。

 

☆今まで、認められなかった経管注入が認められると聞いたのですが。

 

確かに、その面では評価できるところもあります。たとえば高齢の施設で、一カ所で多くの人のケアが必要な場合を考えると、このような整備も必要かもしれません。

 

☆今までは、2日程度の研修で、要件を満たせばヘルパーも痰の吸引が認められましたが。

 

学校でも在宅の支援でも、本人との個別のかかわりの中で、本人と介護者との関係性を大切にして、ケアを行ってきたと思います。そのことを国も認めて、法律的には、『違法性の阻却』(家族以外のものによる医療的ケア行為は、医師法違反の行為ではあるが、一定の条件を満たしていれば、正当行為と認められるので、罪には問われない)とされてきました。


これまで事故も起きてはいません。今回の法制化そのものを否定はしませんが、今まで、国が認めてきた通知はそのまま認知・存続・継承して欲しいと思います。高齢者分野で進められてきたことを障害者にあてはめることで、制度の谷間に落ちる人を作らないでほしいのです。

 

12月26日に、私たちの望む医療的ケア〜法制化目前、緊急全国集会〜を開きます。ぜひ皆さんで、声を上げていきましょう。