Q.親たちでも、卒業後の通所施設づくりはできますか?来年高等部卒業を控えている身体障害の娘たちのために、自宅の1階にある空き店舗を利用して日中活動の場を作りたいと思っています。
家庭での介護で一番大変な入浴もできて、身体を十分動かせるような小規模の通所を考えています。親たちで施設をつくることは可能でしょうか?<130号>
A. 個人が所有している空き店舗等を利用して、身体障害の人たちの卒業後の日中活動の場を作ることは可能です。制度を使わず、自分たちで運営する方法もありますが、自費負担での運営は厳しいと思われます。現行の障害者自立支援法による制度を利用するとしたら、3 つの事業形態が考えられます。
① は、「生活介護」や「就労支援」です。生活介護は、自立支援法以前はデイサービスといわれていたものです。自立支援法の介護給付に位置付けられ、区分3 以上の人が利用できるものです。
入浴介護などもそれなりの加算がつきます。川崎市内の施設でも、入浴のサービスを行っているところもあります。この事業の申請は、神奈川県になります。
要件が整えば、民設民営で、1〜1ヵ月半で事業認可がおり、年度途中からでも始められます。
② は、地域活動センターというのがあります。これは、地域生活支援事業に位置付けられていて、事業申請は川崎市になります。
以前は、地域作業所といわれていて、創作活動などをおこなっています。川崎市内の活動センターでは、入浴介護をやっているところは現在はありません。事業の申請は川崎市になります。
年度ごとに予算が決まっていて、これから始めるなら23年度の申請になります。
◆地域生活支援事業として、もうひとつ日中一時預かりというのがあります。こちらも申請は川崎市です。年度途中の申請も可能です。
これらの事業を行うには、事業所として法人格が必要です。どの事業もNPO法人でも可能ですが、生活介護の事業所は、川崎市の場合社会福祉法人が担っているところが殆どです。
川崎市のノーマライゼーション計画に従って、公設で設置場所を決め、社会福祉法人に委託するという方法をとってきました。受けてもらえる社会福祉法人があれば、店舗を提供し分譲の通所施設とすることもできます。
NPOなどが、民設民営で行うことも可能ですが、その際には、川崎市での施設経費等の補助はありません。
NPO法人格を新たにとられて事業者になることは可能です。昨年度から、神奈川県から川崎市への申請でできるようになりましたが、社員を集めて定款を作るなどの準備には半年くらいかかるでしょう。
◆運営費について
●生活介護の場合…
介護給付は区分6の人で1日当たり、1万3000円。
重度の障害者の場合は、川崎市の単独補助で、重度加算4500円が付きます。入浴加算もあります。
●地域活動センターの場合…
日中一時支援は、利用者一人あたり、4時間以内5600円、4時間〜6時間 6時間以上です。
現在は、重度加算も入浴加算もなく、家賃補助などもありません。