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親が就労していれば通学サポートが利用できるのか


Q.中学生の男の子の母です。今までは、養護学校の送迎を母が車でしていました。息子が学校にいる間、パートで仕事をしていましたが、仕事時間がのびることが多く、お迎えの時間に間に合わなくなってきました。

就労していれば、通学サポートが利用できると、福祉事務所の方に聞きましたが、可能でしょうか。<125号>


A. 通学サポートは、2006年から川崎市の地域生活支援事業の移動支援の一つとして、制度化されたものです。

お母さん(介護者)が、就労や病気の場合に、毎日の登下校にも利用できるという点では、他の自治体にはない画期的なものです。

利用者の1回の利用料負担は、病気の場合は10パーセント負担で100円、就労の場合は50パーセント負担で500円(1万円の上限あり)となっています。 

 

ただし、この通学サポートは、車を利用した場合の運転手には認められないことになっています。運転手の他に安全確保のためのサポーターが必要な場合は、通学サポーターをつけることはできます。

 

車での送迎が必要な場合は、福祉有償運送を利用してもらうことになります。福祉有償運送は、国が定めたもので、単独では移動ができない障害のある人や高齢者のために、営業用のタクシーではなく、NPOなどが自家用車を利用して、送迎できるものです。

 

利用料金は、概ねタクシー料金の半額という規定があります。

サポートセンターロンドでの例をとれば、自宅から学校まで5kmとすると、お迎え料金や送迎料金で900円はかかります。(料金設定は、各事業所で異なります)

これに通学サポーターがつくと、就労の場合は、最低でも合計1400円になってしまいます。

市が発行するタクシー券があれば、1回500円分の補助が出ますが、これも1カ月に8回しか利用できません。

いずれにしても、大きな負担になりますね。

では、サポートする事業所にとってはどうかというと、福祉有償運送は行政からの補助は全くありませんから、運転手さんの給与とガソリン代を払うだけでも赤字になってしまいます。

どの事業所の方も、何とかして障害のある人たちの“足”を守ろうという熱意だけで、運営しているのが実情です。

 

国は、2011年に交通基本法の策定を考えています。この法律が障害のある人の“足”を本当に確保することができるように、神奈川のNPOによるシンポジウムが開かれます。

 

当事者こそが参加した論議ができればと思います。

 

福祉有償運送のこれから ~交通基本法は利用者本位・移動の自由を実現できるか~

 

2月27日(土)13:30~男女共同参画センター 横浜ホール