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休日にヘルパーと外出したいが、なかなかヘルパーが見つからない


Q. 20代前半の知的障害の娘がいます。今までずっと家族でみてきましたが、娘も成人して親以外の人と外出を楽しむ機会がほしいと、支援センターに外出サポートの相談をしました。

初めは、土曜日に娘より少し年上のお姉さんとお出かけできればいいな、と考えていましたが、今はどこのヘルパー事業所もいっぱいで、新しく土日に外出支援を希望しても、お姉さんどころか、ヘルパーさんはなかなか見つからないとのことでした。

娘のお友達は障害が重く、行動援護をとったところ、なんとかヘルパーさんが見つかったそうです。娘はふれあいガイド対象といわれたのですが、ふれあいガイドはやってくれる事業所も少なく、いつまで待ったら外出できるのかと不安です。<121号>


A. お仕事がお休みの日に、好きな場所に出かけて楽しむのは、誰もが持っている当然の権利ですね。でも、障害があって自由に外出が出来ない方には、その権利を保障するために、手助けをするヘルパー・サポーターが、必要になります。

以前、支援費の時代には移動介護として、外出をサポートするヘルパー制度は介護給付に入っており、国がこの保障にお金を出していました。

ところが、自立支援法の施行により、移動介護は国の保障から離れ、市町村の責任による地域生活支援の枠組みへと入れられてしまいました。

 

「移動支援」「ふれあいガイド」というのは、川崎市が作った地域生活支援の一環で、外出の目的により、サービスを分けるものです。

◆買い物や映画といった余暇支援は「ふれあいガイド」というサービスになります。このサポートに関わるサポーターはヘルパー資格がなくても、必要な研修(1~2日ほど)を受ければ、誰もがなることが出来ます。

市は「ボランタリーな」存在と位置づけ、事業所への報酬単価も支援費時代の半分に切り下げ、これの8%程度を利用者負担として、市も利用者も負担が少なくこの制度を維持しようとしました。

 

当然、報酬が少なく、長時間拘束される外出介護は事業所から敬遠され、ふれあいガイドの指定事業所をとるところは少なく、とってもこれまで外出介護をしていた利用者のサービスを続けるためだけで、新規を受け入れることはほとんどない状態になりました。

またボランタリーなサポーターも研修などで養成していくものの、ボランティアにはほど遠い煩雑な事務処理や、サポーターと利用者をコーディネートする業務を考慮に入れられていない状況では、誰もが気軽に出来るものでは到底ありえません。

 

◆「行動援護」というのは、国の介護給付に入るサービスで、行動障害など支援が難しい方が対象になります。この業務に関わるヘルパーには一定の経験や研修が必須になります。

報酬単価も以前とほとんど変わりなく、一割が利用者負担になりますが、上限額に合算されるので、通所をされている方など上限に達している方には、実際には負担がありません。(ふれあいガイド・移動支援などは上限額に合算されません)

支援センターの方にお聞きすると、行動援護をやってくれる事業所も少ないものの、他都市の事業所でも受けられるので、なんとかヘルパーが見つかるとのことでした。

川崎市の地域生活支援である「ふれあいガイド」は、他都市の事業所では指定をとらなければ受けてもらえません。支援センターに希望をだしても、受けてくれる事業所がなく、1年も待っている方もいらっしゃるとのことです。

 

外出をしたい、という当然の希望を権利として守るためには、もう今の制度では限界にきていると言わざるを得ません。

政権が変わり、自立支援法が変わろうとしている今こそ、チャンスです。まずは利用者の希望、事業所の実情、支援センターの本音など、みんなで話し合ってみませんか。声を上げて、自分たちのための制度を作りましょう。