Q.月に一度週末にヘルパーさんとの外出を心待ちにしている車いすの娘がいます。先日、受給者証の期限が1ヶ月以上も過ぎていることに気づき役所に問い合わせました。すると、意外な答えが返ってきました。娘の外出について制度上の問題点がみつかり、時間がかかっているというのです。
今まで居宅介護の身体介護で入浴を月2回、重度訪問介護の移動介護で外出を月1回してきたのですが、どうやらそれはできないようなのです。ふれあいガイドをすすめられました。
親としては、トイレ介助とかのある娘には、ボランタリーなふれあいガイドではとても不安です。20代前半の女性にとって、週末にショッピングしてランチして、たまには映画をみて…というのは特別なことではないと思いますが、どうしてこんなことになっているのですか。<121号>
A.若い女性が一人で(あるいはお友達と)週末に外出を楽しみたいというのは、当然の気持ちですね。車いすの方の外出について、まず、「重度訪問介護」について確認したいと思います。
「重度訪問介護」とは、重度の身体障害の方が在宅で安心して暮らせるように、居宅で必要なサポート入浴介護や食事介護、排泄介護、食事作りや掃除、見守り、通院、外出まですべてをカバーするサービス類型です。
一人暮らしの方も利用することを想定されているサービスなので、「重度訪問介護」の支給時間は月に300時間を超えることもめずらしくありません。
しかし、現在川崎市では、「重度訪問介護」であっても居宅介護は利用されず、外出サポートだけの利用になっている方が多くおられます。
またその反対に、重度の身体障害の方でも、外出は「ふれあいガイド」や「移動介護」でという方もいます。
この方たちは、すでに入浴や朝ケアなど身体介護や、家事援助のサービスを使っていて、外出以外のサポートは長時間を必要とされません。
外出をするために「重度訪問介護」をとると、自動的にこの短い時間のサポートもすべて「重度訪問介護」になってしまいます。
「重度訪問介護」は長時間のサポートが想定されているので、1時間の報酬単価は、身体介護と比べて半分以下になるため、ヘルパーを派遣する事業所にとっては短時間の「重度訪問介護」は負担となります。
逆に、入浴などの身体介護を「守る」と外出はボランタリーな「ふれあいガイド」になってしまうのです。
このような「ねじれ現象」が起きているのは、生活に欠かせない「移動介護」を本来はヘルパーが行うべき介護給付(自立支援法で国が保障する)から外したことが最大の原因と思われます。
自立支援法以前には、「移動介護身体介護付き」と「移動介護身体介護なし」という類型がありました。
今、地域生活支援事業の「移動介護」を「介護給付」に戻そうという論議が全国的に始まっています。
技術や知識が必要なヘルパーとボランタりーなサポートとを、どのように分担していくか、当事者が中心となって考えていく時期だと思います。(遠藤)