◆障害者権利条約と障害者差別解消法①


▮障害者権利条約と障害者差別解消法<254号より>

◆障害者権利条約

「私たちぬきに決めないで」(Nothing about us without us!)みなさんこの言葉を何となく聞いたことがあるかと思います。これは障害者権利条約の合言葉として、世界中で使われています。

そもそも障害者権利条約とは、国連の人権条約の一つで、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳を促進するため、障害者の権利を実現するための措置等を規定しています。

またまた難しい言葉がならんでいますが、要するに障害があろうとなかろうと、人として当たり前の暮らしをして、当たり前に生きていく権利を条文化したものです。

この権利条約の進捗状況を定期的に国連で審査するという規定があります。国連の障害者権利委員会は去る8月22、23日両日、障害者権利条約を批准した日本の取組みに対する初の審査をスイス・ジュネーブで行いました。同委員会は9月9日、日本政府に対し、総括所見(勧告)を発表しました。

 

主な内容は

・障害児を分離した特別支援級の中止要請・「インクルーシブ教育」に関する国の行動計画の作成

・精神科の強制入院を可能にしている法律の廃止

勧告に法的な拘束力はないですが、国連の勧告ですので大きな意味を持ちます。

※国連で定期的審査を行うために、事前に日本政府は政策実行についての報告書・障害者団体や日弁連などの民間団体は実際の「課題」や「改善点」をまとめた「パラレルレポート」を提出します。お時間のある方はぜひ読んでみて下さい。

障害者権利条約(外務省のホームページより)

◆障害者差別解消法

障害者差別解消法は国連の「障害者の権利に関する条例」の終結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、平成28年(2016年)4月1日から施行されました。

この法律は昨年の2021年5月に改正されました。今回の改正で大きく変わったのが、合理的配慮の法的義務は公開期間のみとされていましたが、民間業者にも義務化されたという点になります。

今回、改正ということで民間業者にも義務化されましたが、そもそも差別解消法・合理的配慮とは、ということが社会に認知されていないと思います。きれいごとを言えば法律などでなく、お互い尊重し合って行ければですが、それでは社会は変わっていかないでしょう。法律をきっかけとして、誰もが暮らしやすい社会になればと思います。そのために障害者権利条約や差別解消法を理解していくことも大事なのではないでしょうか。

障害者差別解消法(内閣府のホームページより)