◆生活保護とは


◆生活保護改正<210号より>


生活保護に関連する4法案(生活保護法・社会福祉法・生活困窮者自立支援法児童扶養手当法)が改正されました。★生活保護法(厚労省のホームページより)

2013年に不正受給対策や扶養義務の強化などの観点から一度改正され、その5年後の今国会の6月1日に、生活保護法に関連する4法案が改正されました。

主な改正点は
1.ジェネリック医薬品(後発薬)の使用の原則化
2.大学進学時の一時金支給
3.生活保護受給者に対する健康管理
4.宿泊場所提供の「一時生活支援事業」に見守りや日常支援を追加
5.児童扶養手当の支払い回数を年3回から年6回に変更

改正点を要約すると以上のようになり、一見良い改正に思えたりしますが、それぞれを細かく見ていくと、様々な問題点があります。それらすべてを説明しきれませんので詳細は省かせてもらいますが、一言でいうと「当事者不在」です。

生活保護基準額が引き下げられます

さらに問題なのは、この改正以前の昨年12月22日に厚生労働省は、生活保護基準額の引き下げを発表しています(2018年度10月より段階的に実施)。 食費や光熱費など生活費相当分(生活扶助費)に子育て世帯や母子世帯に対する加算を加えた受給額は、推定で67%の世帯が減額になります。

これに対して受給者からは「これ以上の節約は『死ね』『死んでほしい』と言われている様です」という声が上がっていて訴訟も起こされています。

また表のように生活保護基準額の引き下げは、様々な制度に影響します。例えば住民税の非課税基準も同様に下がるため、今まで課税されなかった人が課税されることにもなります。加えて、保育料や医療費、介護保険料などの非課税世帯に対する優遇措置も対象化から外れるので、さらに負担は増えることになります。

さらに問題なのは、生活保護基準は最低賃金とも連動しており、双方の整合性が常に問われています。生活保護基準が下がれば最低賃金も今後は上がりにくくなるかもしれません。

制度の趣旨を考えれば

そもそも生活保護とは※憲法第二十五条で保障された当然の権利であり、生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

というもので、いわゆる社会福祉のセーフティーネットであるべき制度ですが、不正受給問題をきっかけに生活保護を受けづらくする状況を国や社会が作り出してきました。 この風潮にのって今回の改正や基準額引き下げがなされました。

着々とすすんでいく弱者切り捨ては、私たち国民が「自分で自分の首をしめる」ことになると感じます。
※すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び、公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生活保護基準の見直しで影響が出る制度(一部)


生活保護基準の引き下げは、一億総貧困の引き金になる!(情報・知識&オピニオン imidasより)