◆市バス裁判


▮市バス裁判の判決~なぜ裁判なのか~<225号より>

 

◆判決内容

2017年5月から川崎市(川崎市交通事業管理者)を被告として2年超に及び係争してきた裁判ですが、横浜地方裁判所川崎支部において、先日10月30日に判決が出ました。

裁判文を要約しますと、「運転手の注意義務違反により、Mさんに怪我を負わせた、その責任は使用者である川崎市交通事業管理者にあるので、損害賠償請求の一部を支払え」という内容でした。

 

損害賠償請求裁判ではありますが、Mさんや私たちが求めていたものは、「地域で暮らす障害者や高齢者など、どんな人でも安全・安心に市営バスを利用できるようにして欲しい」ということです。

そういう意味では、運転手さんの注意義務は使用者に責任がある。と司法の判断出たことについては、今後も私達が公共交通機関を安心・安全に利用したいと引き続き運動をしていく上において、意味のあるものになりました。

 

◆なぜ裁判にまで

このような裁判を行っていたことをご存じない方も多いかと思いますので、経緯を簡単にご説明します。

2014年7月に地域活動支援センターGDPかわさきは発足し、そのGDPかわさきに通う手段として、Mさんは「これからの社会は高齢や障害者を問わず、どんな人でも交通公共機関を使えるようになって欲しい」という思いのもと、あえて市営バスを使い通われました。

 

実際に市営バスを利用すると、運転手さんの待遇は安心・安全とはほど遠く、周りの乗客の方の視線もやさしいものではありませんでした。それでもMさんは身体をはって市営バスを利用し続け、私たちも毎回のように営業所へ改善要求を行ってきました。

 

そんな中、市営バス乗車中に車いすを固定しなかったためMさんが後方へ転倒し、後頭部を打撲というけがを負いました。それでも改善はなく営業所レベルではだめだということで、交通局のサービス安全課と直接交渉するようになりました。

 

交通局との話し合いは何回にも及びハード面の改善は少しずつされていきました。そんな中、またしても、運転手さんがシートベルトを正しく装着しなかったことで、Mさんがろっ骨を不全骨折するという事態が起こりました。その後の交通局の対応も納得できるものではなく、Mさんには大きな負担となりましたが、裁判でも起こさない限りもうダメでしょうということで訴訟を起こしたのです。

 

◆公共交通機関とは

私たちは運転手さん個人を責めているのではありません。公共交通機関の役割として、乗客が安心・安全に乗車できるよう管理・運行していく。そのために実際に運行を行う運転手さん等が全ての乗客に対し安心・安全な対応を行えるようにしていく。ではないでしょうか。

 

そこには高齢者も障害者もありません。またこれは市営バスに限ったことではありません。誰もが安心・安全に公共交通機関利用できるよう、私たちは運動を続けます。乗客となるみなさんにも少しお待ちいただくことへのご理解もお願いいたします。

神奈川新聞の記事(2019年10月31日)はこちら