◆介護職員による医療的ケア


▮介護職員による医療的ケア<249号より>

◆介護職員による医療的ケア

 

医療的ケアを必要な人たちが地域で望んだ生活ができるために、2012年法改正が行われ、「介護職員等によるたんの吸引等の実地のための制度」ができました。

3号研修は、特定の人を対象にした研修として確立されました。

 
特定のものを対象とした喀痰研修等の基本的な考え方

 

●「どこで誰と生活するか」の選択の機会確保に資する 

ヘルパーが喀痰吸引等を行うことで在宅生活の可能性が高まり、学校で喀痰吸引等が行われることで、教育機会の確保・充実につながり、重度の障害があっても地域とつながる。

 

●喀痰吸引等は、「暮らしの場でおこなわれる医療的ケア」

介護職員等は喀痰吸引等を、本人の「生活や教育の場を支える」ために行う。したがって、手順通りに手技を行うとともに、対象者になるべく負担をかけないよう、喀痰吸引等を行う技術の習得が重要。

 

●個人単位の合意ではなく、「事業者」単位の合意 

喀痰吸引等制度以前は、本人、介護職員等の「個人」単位の合意のもとに実施してきたが、法制化されたことで、「事業者」単位の合意へ移行、これにより、組織としての決定や取り組みが必要となった。

 

●第3号研修は、対象者の「個別性」重視

喀痰吸引は必要時に行う医療的ケアであり、手技の在り方や想定されるリスク、その対応法も個別性が高い。そのため、第3号ではOJTが基本であり、実施研修や業務の中での医療職との連携が重要。


▶参考資料:重度障害児・者等の地域生活等に関する講義(厚労省のホームページより)


◆Tさんは現在一人暮らし。

胃ろうによる経管栄養を必要としています。週3日生活介護に通い、そこでも介護職による栄養注入がありますが、朝昼夜の食事と水分を合わせて1日5~6回の経管注入はヘルパーさんの訪問によってケアされています。訪問するヘルパーさんは、現在11名。全員が3号研修を受け、医師の指示書をもとに本人の希望を入れたマニュアルで、全員が同じ手技で行っています、

 

以前はエンシュアなどの経腸栄養剤を注入していましたが、今は、麻婆豆腐や牡蠣のみそ鍋など、リクエストメニューをヘルパーが作りミキサーにかけて注入しています。

 

◆Tさんに聞いてみました。

Q.看護師さんの訪問はありますか。

訪問看護さんは週1回。体調と胃ろうボタンの固定水を見てもらう。

 

Q.ヘルパーさんに、注入してもらうことで困ったことはないですか。

みな同じやり方なので、ヘルパーさんで困ったことはないです。何かあるとヘルパーさんが往診の先生に電話して聞いてくれます。

 

Q.ミキサー食はどうですか。

胃ろうでも、味の違いやおいしいものは分かる。好きなものが食べられるのはうれしい。

 

Q.外出するときは、どうしているの

シリンジや栄養食を持っていくの。映画館のロビーで注入したこともあるよ。