Q.特別支援校中学2年生の一郎さん(仮名)のお母さんから電話がありました。本人がどうしても、「直接話がしたいそうなので、代わりますね」と。<203号>
A.T:もしもし、一郎さんですか。何か困ったことがあったんですか?
「あのね、僕は一人で学校に行きたいの。だからヘルパーさんはついてこないで!」
T:そうか。一人で行きたいのね。どうやって行くの?
「バスに乗っていくの」
T:一人で乗ったことあるの。
「お父さんと乗った事あるよ」
T:一人で乗るのは初めてでしょ。ちょっと心配だね。
「ダイジョーブ。できる!」
T:夏休みの終わりに、学校で先生とお母さんとみんなで(療育の先生やヘルパーも交えて)話し合いをしたよね。その時に、学校の先生が一人で登校するには、練習が必要だって言われたよね。
「ヤダヤダ、一人で行く」
T:ヘルパーさんの何が嫌なの?
「そばについてくるから」
T:じゃあ。こうしてはどうかな。来週からバスで行くことにしましょう。
「うん、それがいい」
T:それで、ヘルパーがついて、一人で行けるように練習をしましょう。
「えー」
T:ヘルパーさんは、隣につかないで離れていることにするというのでどうかな。
「わかった」
T:また困ったり、ヤダなと思ったりしたら、こうやって連絡してきてね。この前のように、学校の先生や療育の先生たちと一緒に、みんなで相談に乗るからね。電話してきてくれてありがとう。
「うん。わかった。」
***
一郎さんは、上級生や友だちが、一人で登校するのを見て、自分も一人で登校したくなったようです。支援者側は。今までの彼からは、一人での登校は先の話と思っていました。
そこで、ひとつ前のバス停からヘルパーが乗り、一郎さんはバスに一人で乗り込むことにしました。バスの中では、ヘルパーはそっと見守ります。
バスが渋滞にはまって30分も遅くなったり、隣に座った人とちょっとしたトラブルになりかけたりしながらも、今は懸命に頑張っています。今までもいろいろあったし、これから先いろいろあると思うけど、みんなで応援していますよ。