Q.24歳で重度重複障害のある娘の母。娘は生活において100%介助が必要です。現在は日中の通所と自宅での入浴介助をお願いしていますが、それ以外はほとんど私が世話をしています。
この先の生活を考えてグループホームなどを見学してきましたが、24時間介助が必要な重度障害や、まして医療ケアが必要な場合は入れる所は皆無です。
見学先でお話しを聞くとスタッフの不足、特に夜間の宿泊は大きな問題の様ですし、賃金に関してはとても労働に見合っていないと感じました。
数年前にお母さん方が立ち上げたホームがありますが、その後に続く場所が出来ません。大きな法人が検討してくれないかとは思いますが、娘に合ったホームを自分達で作りたいと感じます。何をどこから始めればいいのでしょうか?<202号>
A.ご家族の方たちがグループホームを立ち上げるというのは、素晴らしいですね。グループホームは、その人らしい暮らしを実現する場ですから、ご本人のことをよくわかっているご家族が、立ち上げるのは意味があります。
新しくグループホームを作るには川崎市への申請が必要です。年に一回次年度新設ホーム等の募集が一月頃にあります。その時には、建物が決まっていなくてはならないので、まずはホームの物件探しが必要ですね。
重度重複障害の方が入られる場合、バリアフリーであることやリフター等の設置も必要となるので、そのような建物を探すか、改修するか、新たに建てるかになります。
新設等される場合は、川崎市から一定限度内の補助が出ます。
ホームを新設する場合、消防法などに規定され、入居者の状況によってスプリンクラーや自動火災報知設備の設置が必要になります。リフターの設置についても、個人の居室の場合は、やさしい住まい等住宅改修の制度や日常生活用具の制度を利用できますが、浴室など共同利用の場所は、事業所負担になります。
いずれも、かなり高額な費用を準備する必要があります。これらのことが、重度障がい者のホーム設立を遅らせているのではないかと思います。
次にホームの体制です。現在グループホームには、従来からある介護サービス包括型と、外部サービス利用型があります。外部サービス利用型は、入居者の身体介護等を外部(同一法人も可)のヘルパーに委託するものです。ただし、介護サービス包括型であっても、重度の障がい者であるなど要件を満たしていれば個別のヘルパー派遣が認められています。
ご心配の通り、介護職の給与水準が低いこともあり、人材確保が厳しいです。特に宿泊を伴う介護の場合、就労する人も限られます。現在の報酬体系では、十分な給与保障ができません。そういった中、厚生労働省の報酬改定の検討では、30年度から、「重度対応型共同生活援助」を新設することも考えられています。
最後に、入居されるご本人の準備も必要です。少なくともご本人がホームをイメージされているかどうかは、とても重要なことだと思っています。そのためには、ホームでの体験入居やショートステイ等で、家族と離れて暮らす体験をされることをお勧めします。
新設予定の「重度対応型」のホームには、ショートステイの部屋を置くことも設置基準になっています。(谷)
<参考:厚労省のホームページより>
▶重度の障害者への支援を可能とするグループホームの新たな類型の創設 日中サービス支援型