Q.医療的ケアがありますが、元気に特別支援校に通っています。学校では、担任の先生が3号研修を受けて、胃ろうからの注入とたんの吸引をしています。高等部卒業後の施設でも、同じように医ケアの人を受けてもらえるのでしょうか。<193号>
A.①3号研修とは?
介護職員等による喀たん吸引等の資格には2種類あります。不特定多数の者を対象の1・2号研修と、特定の人に対して、決められた範囲の医療的ケアのうち、特定の行為について許可される3号研修があります。
→喀痰吸引等制度について(厚労省ホームページ)
3号研修は、特定の一人を対象に研修を行いますので、日常的に医療ケアが必要な方との関係性があることを前提に、研修時間や実地研修の回数は少なくなっています。特別支援学校の教員や、統合保育の保育園の先生、在宅ALS患者等在宅ヘルパー、障害のある方とかかわる介護職員の多くは、3号研修の資格取得者です。
②学校の先生以外の人は、どこで研修を受けるのですか。
県に申請し許可された登録研修機関が、医療的ケアを実施できるよう養成研修を行っています。障がいの関係の事業所等では、フージョンコムかながわのような登録研修機関が、開催した研修会を受講し、資格を取る方も多いです。
フュージョンコムだけでも、200名近い方が今年も資格を取得されています。 また、介護福祉士の養成課程のカリキュラムの中に「医療的ケア」が組み込まれ、これからは、介護福祉士の資格のある方は、実地研修を終えれば、1・2号の資格取得者として、誰にでも決められた範囲の医療的ケアを実施することができるようになります。
→医療的ケア児 第2回 「医療的ケア」とは何か
<NHKハートネットのホームページより>
介護福祉士の資格取得の、福祉高校系のルートでは、高校3年間で「医療的ケア」の学習に取り組みます。川崎では市立川崎高校の福祉科も取り組んでいるそうです。
③研修が普及すれば、卒後の施設でも介護職の医療的ケアは可能ですか?
研修の普及は高まりつつありますし、卒業後の施設では、特別支援学校で取り組めた医療的ケアの内容は、実施できると思います。障害のある方が、家族以外の、多くの方と、多くの時間を過ごすことが自立につながると思います。
人は、家庭や地域で育まれた力を基礎に、家族以外の人とも一緒に、地域で過ごし、自立していきます。現に通所施設や入所施設で、様々な工夫を行い医療的ケアのある方を受け入れ生活している例も多いです。うまく回っているところは、医療職との連携が円滑なところです。
医療的ケアのある方を中心に、どうしたら安全に安心してケアを受けられるか、ケアをしてあげられるか、いろいろな職種が真摯に向き合い、話しあう姿勢があれば、医療的ケアは広がりを見せると思います。
卒業後の施設で、医療的ケアが進んでいないとしたら、その理由を理解し、対策を立てる必要があると思います。関わる方の思いだけでは続かないようです。行政的なバックアップにも大いに期待したいと思います。
フージョンコムでも、来年は川崎市の方が受講しやすいように、川崎市内でも研修を開催できないか検討しているところです。(フージョンコム理事長の成田さんにお聞きしました)