障害者が入院した時に支援員を派遣することができるようになったと聞いたのだが詳しく教えて欲しい


Q.障害者が入院した時に、コミュニケーションをとるために、ヘルパーなどの支援員を派遣することができるようになったと聞いたのですが、どんな制度が詳しく教えてください。<187号>


A.朗報です!今年度の4月から、入院時にコミュニケーションをとるための支援員の派遣が認められることになりました。

今まで、「コミュニケーションが取れない」、「食事の時、慣れた人でないと口を聞いてくれない」などの理由で、「家族が一緒に付いていて下さい」と病院から言われたり、点滴などを外してしまうので家族がついてくださいと言われたりした方も多かったと思います。条件はありますが、これからは、コミュニケーションをとることを目的にした、支援員の派遣が認められることになりました。

▮どんな制度ですか。

普段はヘルパー等を利用して生活している方も、今まで、入院中は「完全看護」ということで、ヘルパー派遣はできないことになっていました。今回、障害者総合支援法第77条「地域生活支援事業」として、川崎市は、入院時に意思疎通を図るための支援員の派遣を公費で認めることになったのです。

川崎市重度障害者等入院時コミュニケーション支援事業とは(川崎市ホームページから引用)

▮この事業を利用できる方は

川崎市内在住の障害者及び学齢児(小学生)以上の障害児で、次の①~④のすべてにあてはまる方

①身体障害若しくはこれに準ずる障害(難病)、又は知的障害、又は精神障害のある方

②意思疎通を円滑に図ることが難しい方(※申請時に、別途定めた要件に該当するか確認します。)

③入院前から障害福祉サービス等を利用している方

④入院先の病院の承諾を得られる方

▮コミュニケーション支援員は何をするのですか

利用者と病院スタッフの意思疎通を図ること及びこれに伴う必要な見守りで、診療報酬の対象とならない範囲での支援とします(病院から家族への病状伝達行為、治療法及び手術等診療方針の同意はできません)。

▮コミュニケーション支援員になれる人は

障害福祉サービス事業所等に所属し、入院前から日常的に御本人の支援に関わっているヘルパー、入所・通所先の職員、グループホームの職員等であって、御本人とのコミュニケーションを円滑に図れる(独特の伝達方法のある場合は、それが理解できる)方

▮利用できる時間数は

1回の入院につき150時間までです(実際に支援をおこなった時間のみが対象。)

 

▮利用者負担額はありますか

ありません。ただし、市外の病院に支援員を派遣する場合は支援員の交通費を負担していただく場合があります。

▮相談の窓口は

・各区保健福祉センター

・障害者(18歳以上):高齢・障害課障害者支援係

・障害児(18歳未満):地域みまもり支援センター地域支援担当(課)地域サポート担当(係)

・大師・田島地区健康福祉ステーション

・障害者(18歳以上):高齢・障害担当(課)高齢・障害担当(係)

・障害児(18歳未満):地域支援・児童家庭担当(課)地区支援担当(係)

▮利用方法は

各様式は市ホームページからダウンロードが可能です。

▮この事業を利用したいと思ったら
〔入院前に事前登録が必要です〕

※ただし緊急入院の場合は、例外的に入院後の登録申請も可能

①普段利用している障害福祉サービス事業等に、「承諾書兼委任状(第2号様式)」を掲示し、入院時のコミュニケーション支援員を派遣する事業者となってもらうことを依頼するとともに、派遣費用の請求・受領書を事業者に委任し、承諾(受任)が得られたら同様式に署名・押印をもらう。

②「登録(変更)申請書(第1号様式)」と①で署名・押印済みの「承諾書兼委任状(第2号様式)」を区保健福祉センター(地区健康福祉ステーション)に提出

〔入院が決まったら〕

③病院にコミュニケーション支援員が入ることについて、病院の承諾を依頼し、承認が得られたら「利用開始(変更)届(第6号様式)」に病院の署名・押印をもらう。

④事業所にコミュニケーション支援員の派遣を依頼

⑤「利用開始(変更)届(第6号様式)」を区保健福祉センター(地区健康福祉ステーション)に提出

〔退院した時〕

⑥「利用終了届(第8号様式)」を区保健福祉センター(地区健康福祉ステーション)に提出

当事者家族の方からのご質問に答えて

Q.子供が入院したら、言葉が話せないし、ナースコールも押せないから、いつも付き添うようにしています。子どものことを1番わかっているのは、通所先の支援員さんですが、お願いすることはできるのでしょうか。

A.コミュニケーション支援事業は、ヘルパー事業所だけでなく、当事者が日常的利用されている障害福祉サービス等の事業所であれば、特別な資格はなくても、だれでも支援員になることができます。利用者の方が入院された時、ご本人とコミュニケーションをとれるのは、身近にいつも察している支援員だと思います。

登録をされる時に、「コミュニケーション支援員の派遣事業者」として、入院時の派遣をしてもらうようお願いされてはどうでしょうか。事業所は1か所だけでなく、いくつも登録することができます。

川崎市は、支援員を派遣する事業向けのお知らせも、作成しています。それも一緒に見せながら、お願いしてみてはどうでしょうか。

Q.事前に事業所の方に、してもらうことはありますか。

A.派遣の承諾をしてもらえるようでしたら、承諾書兼委任状(川崎市ホームページからダウンロードできます)に、署名・押印をし、登録申請書と一緒に、保健福祉センター等に提出します。

 

Q. 事業所に支払われる派遣費用は、どのようになっていますか。

A.単価は、30分当たり600円です。

これに、派遣手数料が1日につき2000円(市内交通費を含む)が、代理受領として、川崎市から事業者に支払われます。

Q.1日当たりの派遣回数・支援時間の制限はありますか。


A.派遣回数の制限はありませんが、1日に複数回派遣しても、派遣手数料は1日分となります。支援時間は、1回の入院につき150時間で、1日概ね5時間程度を想定されていますが、状況によるので、制限時間はないようです。


Q.うちの子は入所しているのですが、入院すると、不安で騒ぎます。気持ちを変えるために、好きなテレビをつけたりや音楽をかけたりしてもらえるといいのですが、家族が行かないとそれもできません。入所していても、利用できるとありがたいのですが。

A.障害福祉サービスを利用されているという括りですので、入所施設の利用者も含まれます。

Q.うちの子は、相談支援員さんとのかかわりが強く、病気の説明などは、相談員さんにしてもらえるとありがたいです。相談員さんにお願いすることもできますか。


A.はい。指定一般相談や指定特定の相談支援業者も該当します。

Q.実際にはどんな支援をしてもらうのでしょうか。

A.以下の支援項目となっています。

1.入院時の説明、聞き取りの際の意思疎通支援

2.病院スタッフによる治療計画・入院計画の説明の際の意思疎通支援

3.診察・処置・検査・療養の説明、実施の際の意思疎通支援

4.手術前後の説明、処置の際の意思疎通支援

5.リハビリの説明、実施の際の意思疎通支援

6.退院後の治療・療養の説明の際の意思疎通支援

7.医療費制度・保健福祉制度の相談・説明の際の意思疎通支援

8.1~7のコミュニケーション支援前後の準備、不安・緊張への対処

9.その他の意思疎通支援(具体的に記載)

まだ、始まったばかりの事業です。それぞれの当事者や家族にとって、本当に必要な支援となるのか、実際に利用されながら、支援事業者と一緒に、より良い制度になるよう検討していきたいですよね。