Q. 私は、手押しの車いすで外出しています。遠方の病院に通う時には、介護タクシーを利用していますが、お金もかかるので、できるだけ公共機関を利用するようにしています。
ところが、これが結構大変です。運転手さんによって対応がまちまちで、何度も嫌な思いをしています。
乗車の際に、スロープを出してもらえなかった。車いすの固定をしなかったため、前輪が浮き後ろに倒れてしまい後ろの壁で頭を打ってしまった。呼んでも答えてくれないなどなど。皆さんは、そんな経験ありませんか。<179号>
A. 私はヘルパーとして、車いすの方と外出することがあります。電車の場合は、窓口で声をかけると、ホームまで案内してくれて、スロープもすぐに用意してくれます。以前は、駅員さんにお願いしても、駅員が少ないからと、いやな顔をされることもありましたが、今はとても好意的で、介助を頼むことが当たり前になっています。
一方でバスは、ベテランヘルパーでさえ、「できればバスは敬遠したいな」といわれるほど。今日はいやな顔をされないかしら、固定をちゃんとしてもらえるかしら、と不安な思いを抱えて乗っています。
特に途中下車の場合は、他の乗客への声かけをしてもらえるかどうかで、周りの雰囲気も変わり、緊張感が高まります。車内でベルト装着がされなくて、カーブで車いすごと横転し、本当に怖い思いをした人もいます。しかし、これでいいわけではないですね。車いすの人がバスに乗るために肩身の狭い思いをしなくてはならないなんておかしいです。
すでに、国は2006年に「交通バリアフリー法」を制定し、高齢者や障害者等の移動が円滑にできるよう計画を推進しているところです。こういう中で、低床バスやノンステップバスの導入が進められてきました。さらに、2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控え、さらに高いレベルのバリアフリー化を目指す方向が打ち出されています。
2016年4月からは、「障害者差別解消法」が施行されます。この法律では、障害のある人とない人の平等な機会を確保するために、障害の状態などを考慮し、サービス等を提供することを「合理的配慮」といい、それをしないと「差別」をしたことになります。
障害者権利条約の批准から、障害者の権利を保障し、差別を解消する取り組みが広がっています。だからといって、黙っていても、問題解決はされません。差別の実態を当時者が訴えていくことが、この法律を血の通ったものにしていくことになると思います。