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ヘルパーより。医療的ケアが法律で制度化された、今までどおり吸引できるのか


Q.重度障害者のヘルパーをしています。来年度から医療的ケアが法律で制度化されたと聞きました。以前に、2日間の医療的ケアの研修を受け、重度訪問介護の研修でも、たんの吸引の実習をしました。今まで通り、利用者の方の吸引はできますか。<147号>


A.介護職員による医療的ケアが制度化されました。

 

介護職員による痰の吸引や経管栄養は、当面のやむを得ない措置として、一定の要件が整った場合のみ運用されてきました。介護職員にも安全に医療的ケアができるよう、当事者や関係者による検討が重ねられ、その結果、2012年4月1日から、介護職員等による「たんの吸引や経管栄養」について、「社会福祉士・介護福祉士法」の一部改正が行われ、法律に基づいた新たな制度が始まることになりました。

 

☆介護職員が行ってもいい医療的ケアは、変わるのですか。

 

今回の制度では、今までのたんの吸引に加えて、経管栄養も対象となります。ただし、介護職員ができるケアは、看護師とは違って、例えば吸引であれば、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部だけです。研修で指示がありますから、確認した方がいいですね。

 

☆誰が行えるのですか。

 

医師の指示や看護師との連携の下、介護職員(ホームヘルパー、介護福祉士、特別支援学校教員等)で一定の研修を修了した方が実施できます。今までのように利用者とヘルパーとで同意書を交わすだけではなく、所属する施設や事業所などが、医療関係者との連携などの一定の要件を満たした上で登録事業者として県に申請が必要となります。


☆今までと研修内容が変わるのですか。

 

新たに、研修も制度化され、都道府県で行う研修か、登録された研修機関で行う研修を受けていただくことになります。研修には2つのパターンがあります。

 

介護施設などで、不特定の人に対して行うケアを行う場合は、講義と演習50時間と実地研修が必要です。在宅のヘルパーや施設であっても特定の人にのみケアを行う場合は、講義と演習9時間と特定の人が必要とするケア(たん吸引等)の実地研修が必要となります。ケア内容が変わったり、新たな利用者のケアをしたりする場合には、その都度実地研修を受ける必要があります。 

 

☆これから研修をするとなると、今まで利用していた方には、間に合わないので、利用者が困られると思うのですが。

 

既に一定の研修を受けたヘルパーで、たんの吸引を現在実施している場合は、県にたんの吸引等の業務を行うための証明手続きをし、認定証が交付されれば、引き続き実施することも可能です。ただし、今まで実施していた方以外の方をケアする場合は、研修が必要になります。