Q.春から息子が高校生です。今まではスクールバスに乗れていたのですが、高校生からは自主通学になります。一人では電車やバスには乗れません。私も、車の運転はできません。
「通学・通所支援」というものがあると聞いたのですが、車で毎日学校へ送ってもらえるのでしょうか。
A.この時期になると、学校通学についての問い合わせがたくさんあります。
◆通学支援とは
「通学・通所支援」は、川崎市独自の福祉サービスです。保護者が学校や通所先へ送迎することが困難な場合に、サポーターが手伝うものです。
小学生以上の障害児者が対象。保護者の就労証明書か、疾病の証明書が必要です(利用料の負担は、保護者が就労の場合は50%、疾病の場合は10%)。
また、昨年からは、スクールバスのバスポイントまでの送迎も認められることになりました。
ちなみに、通学支援の利用者は、川崎市全体で一ヶ月40人にも満たないそうです。利用要件が厳しく、また依頼を受けられる事業者が少ないためでしょう。
しかし、この「通学支援」と、車を使っての送迎は、基本的に別のサービスです。車両での送迎を行う「福祉有償運送」とは、NPO等が自動車を使用して、公共交通機関を利用することが困難な方に送迎サービスを提供する、というものです。利用料金などは各事業所ごとに異なります。
具体的には各事業所とのやり取りになりますが、保健福祉センターや、学校内の地域支援部の先生などにも相談してみて下さい。
◆スクールバス不足の問題は
スクールバス不足の問題は、特に大都市圏で、最近さらに深刻化しています。養護学校の児童数が増えているからです(過大規模化)。特に特別支援教育のスタート以降、養護学校を選ぶ子どもたちが「重度・重複化+多様化」している、という言い方がされます。
これに対し、神奈川県の教育委員会からは、具体的な方針が出ていません。県全域でも、スクールバスが十分に増強されているとは言いがたい状況です(平成20年度は県全域で1台増えただけ)。
最近は、学校では対応しきれない場合、NPО法人などの福祉事業所への送迎依頼として(下請け的に)おろされてくる傾向にあるようです。ただし、通学支援のサポーターさんを確保するのは、けっして簡単ではありません。限界もあります。
本来、教育保障と通学保障は切り離せないものです。とすれば「通学保障問題」は、「学校+保護者+福祉」の関係者が、しっかりと話し合っていくべきもののはず。にもかかわらず、「通学保障問題」が議論される場は、まだまだ少ないのです(たとえば麻生養護学校で「障害児の通学・移動を考える」という講座が開かれたりはしていますが)。
そればかりか、構造的な「問題」としてすら、十分に意識されていません。結果的に、家庭に負担が押し付けられ、「家族責任」で話が終わってしまいがちです。
先生たちからすると、教育現場は今、制約がどんどん厳しくなっているそうです。学校からも保護者たちからも、「責任」の所在を細かく求められ、範囲外の事柄になかなか手が出せない、とのこと。
教育と福祉の分断が生じ、「学校送迎問題」を三者間で分かち合えなくさせている原因の一つかもしれません。
ある地域支援の先生とも話し合ったのですが、「問題の所在に気付いた人が訴えていくしかない」とのこと。特に、保護者の皆さんが訴えていくと、学校サイドの人間にも一番響くとのことでした。