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移動介護が無くなると聞いた、外出の支援受けられなくなるか不安


Q. 通所施設に通っている息子は、(支援費制度が始まる前の)高校1年からヘルパーの外出支援を受けています。

大きくなるにつれて家族とは外出したがらなくなり、ヘルパーを利用しました。いざ外出となると、どこに連れて行ってもらうのがいいかも分らず、不安もありましたが、ヘルパーさんに誘ってもらって図書館に行ったり、百円ショップで買物をするなど、親とは違う楽しみが出来るようになってきました。

今までに、年齢もさまざまな7~8名のヘルパーさんに関わってもらいました。息子は自閉症といわれていますが、ヘルパーさんごとに自分から関わり方を変えるなど、親としても、息子の成長に驚くことがありました。

 

今回、自立支援法が国会を通り、来年から移動介護がなくなる、と聞きました。今までの支援が受けられなくなるかと思うと、とても不安です。どうしたらいいのでしょう。


A.障害者自立支援法が国会で成立しました。当事者に十分な説明もなく、細かい中身は今後決まるとのことで、不安が高まっておられると思います。

今後の経過は下の図のようになります。くわしい説明は、今号の「移動・外出などのサービス」って、これからどうなるの?」をよく読んでみて下さい。

 

来年の10月からは移動介護という給付はなくなり、市町村の事業である地域生活支援事業で対応することになっていますが、川崎市の構想は今は分りません。

そこで、川崎市の障害福祉課の自立支援法担当者にお願いして、来年からヘルパーはどうなるのか、について説明会(1月24日)をひらいていただくことになりました。その場で、じかに質問していただきたいと思います。

移動・外出のサービスのこれから

☆自立支援法でヘルパーはどう変わる?
移動・外出のサービスって、これからどうなるの?

 

上の図を見て下さい。厚生労働省がまとめた「移動支援サービスの見直し」です。自立支援法では、移動・外出などのサービスは、基本的にこの図を目指して変っていくわけです。ちょっとわかりにくいですよね。以下、少し説明してみます。

 

まずはっきりしているのは、支援費制度で認められた現在の「移動介護」という個別支援サービスは、

 

2006年(平成18年)10月から使えなくなる、ということです(次の4月からではありません)。

 

ではどうなるのでしょう?

 

「重度の」知的障害者(児)・精神障害者は、「行動援護」を使うことができます。

行動援護を使えるのは、正確にいえば「自閉症、てんかん等を有する重度の知的障害者(児)又は統合失調症等を有する重度の精神障害者であって、危険回避ができない、自傷、異食、徘徊等の行動障害に対する援護を必要とする者」です。

 

 「重度の要介護状態にあって、かつ、四肢マヒのある身体障害者」(現時点では「障害児」は含まない)は、「重度訪問介護」を使うことができます。

 

(※さらに「極めて重度」の障害を持つ人々、「ALS等極めて重度の身体障害者、強度行動障害のある極めて重度の知的障害者、極めて重度な精神障害者」には「複数のサービスを包括的に提供」する「重度障害者包括支援」があります。)

 

これらの「行動援護」「重度訪問介護」に当てはまらない人は、移動・外出などの支援については、「移動支援事業」を利用することになります。これを使えるのは「身体障害者、知的障害者、障害児、精神障害者であって、一定程度以上の障害の状態にある者」とされます。

 

移動支援事業」は、それぞれの市町村独自の制度になります。ものすごくおおざっぱにいうと、「行動援護」「重度訪問介護」などは国から半分お金が出るのですが、「移動支援事業」の場合は各自治体でお金をまかなわなければなりません。

単純に、お金の負担が大きくなるから、制度もそれに見合った範囲でつくらなきゃならないわけです。じゃあ川崎市ではそれはどういうものになるの?・・今はわかりません。

イメージとしては、複数の利用者さんを一人の介助者が支援するというタイプのもの(集団外出など)、またはボランティアに近いかたちでの1対1のサービス(短時間かつ低給付のもの)、などが考えられますが、いずれにせよはっきりとはわかりません。

 

さらに障害児支援については、「児童デイサービス」や「タイムケア事業」などがあるのですが――これらの話はまた別の場所で。

 

ただ、これだとどうしても「制度の谷間」に落ちてしまう人が出て来ますよね。

例えば「行動援護」に当てはまるほど「重度」ではないけれど、「移動支援事業」では対応し切れない、という方など。

そうすると、これまでのヘルパー制度で行っていた外出・移動が、その人は来年の10月からできなくなるわけです。そうなっちゃうと困りませんか。どうでしょうか。

この「谷間」を少しでも減らすには、「行動援護」の要件を緩和し、「移動支援事業」の厚みを増すことが必要なわけですが、とにかく現在、川崎市では行動援護もスタートしていませんし、「移動支援事業」の実体も明らかになっていません。だからこそ、漠然とした不安を感じている当事者・ご家族の方がいらっしゃるわけです。

 

移動・外出サービスを利用してきた自分自身(ご家族)のことをイメージしてみて下さい。今までの生活、今後の生活を、できるだけ具体的に。どんな支援サービスが使え(使えず)、どんな生活を送ることができそうでしょうか。

もちろん、それぞれの制度の具体的中身がよくわからない現状では(何でいつもそうなの!)、来年のことを想像してみるのも簡単ではありませんよね・・。といっても、もう間近に迫ったはなしであり、やっぱり少しだけ想像し、具体的に考えてみることが大事なんじゃないでしょうか。