▮障害者権利条約と障害者差別解消法<261号より>
◆障害者権利条約と障害者差別解消法
そもそも障害者差別解消法とは、障害者権利条約を批准するために必要な国内法の一部として法整備されました。
【障害者権利条約とは】
障害者権利条約とは、国連の人権条約で、障害者の人権や基本的自由を守れるように国がやるべきことを決めるという国際的な取り決めのことです。
「私たちのことを私たち抜きに決めないで」この合言葉のもと、世界中の障害のある人たちが参加して、2006年「障害者権利条約」が作成されました。
2007年に日本も署名しました。ただ、日本が条例に締結したのは2014年でした。国内の障害者制度や法律の制定・改正を行い、条約を批准するに足り得る国内の法整備等に7年かかりました。
【主な施策】
2011年 障害者基本法の改正
2012年 障害者総合支援法の制定(障害者自立支援法の改定)
2013年 障害者差別解消法の制定(施行は2016年4月1日)、障害者雇用促進法の改正
改めて障害者差別解消法とは
全ての国民が、障害の有無によって分け隔たれることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、2013年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(「障害者差別解消法」)が制定され、2016年4月1日から施行されました。
また以前にもお知らせしたと思いますが、2021年6月4日差別解消法が改正され、民間事業者の合理的配慮が義務化となり、3年以内に施行されることが決まりました。
「合理的配慮」の提供
障害のある人は社会の中にあるバリアによって、生活しづらい場合があります。この法律では役所や事業者に対して、障害のある人から社会の中にあるバリアを取り除くため、何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたとき、負担が重すぎない範囲で対応することを求めています。(内閣府パンフレット「合理的配慮」をしっていますか?より)
この法律が出来てから8年が経ちますが、法律がある事や、合理的配慮の内容を知っている人はほとんどいないと思います。また知っていて困ったことがあっても、相談先がはっきりとしないので、進展がなかったりします。
私たちが社会で暮らしていく中で、社会的障壁や基本的人権に関して、いちいち法律をふりかざす。ということではなく、お互いの理解のために、法律を使っていけば良いのですが、現状法律の周知・理解がなく、ただ法律がある。という事だけになってしまっています。それでも障害者差別解消法を知っている人たちが、有効なものにしていけるよう、少しでも声をあげていかないと。と思います。